「お金は掛かりますけどね。お金は掛かりますけどね」

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私の大腸がんの主治医は、大腸が専門の外科部長だ。

彼は、S字結腸にある癌は「これは手術しないといけません。腸閉塞を起こすからね。しないといけません。」
と言い切りましたが、その後の抗がん剤治療に関しては、
「どうしますか?抗がん剤しますね?僕たち医師は抗がん剤を勧めています。
お金は掛かりますけどね。お金は掛かりますけどね。」
と、同意を求める形だった。

「お金が掛かる」、この1点で抗がん剤治療を諦める人もいるのだろうな。
自分が自分にとって最良の治療を選択するというより、ただただ経済的理由のために。
医療保険に加入していなかったとしたら・・・。

離婚してすぐの家の近所に住んでいた初老の女性を思い出す。
「余命3年と言われたけど、私はもう7年生きている。アハハ。」

歯のない口を開けて笑っていた、乳がん放置の人だ。
腋からも首からもゴツゴツしたコブが覗いていた。
そんなでも次男と孫と暮らし、幼いお孫さんの面倒をみていた。

医療は一切拒み続けて、3カ月ほど床に臥せって亡くなった。
床に臥せってから民生委員や自治会長さんたちが生活保護と入院を勧めたらしいが、
頑なに断り続けた。

彼女の意志を貫く強さには敬服するけれど、
どんなにか苦しく、どんなにか痛かっただろうと思うとやり切れない。
現実は厳しい。


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